住宅ローンの返済が滞ったり、遅れたりすることが度々あると「任意売却」を考えた方がよいのですが、では住宅ローンの返済がどのくらい遅れたりすると問題になるのでしょうか。
住宅ローンの返済の原則
住宅ローンの返済は原則的には遅れてはいけないものです。
住宅ローンの借入をする時に金銭消費貸借契約という契約書を作成しています。
契約書には返済期日が記載されており、これを怠ると『期限の利益を失う』と書かれています。
住宅ローンの場合には毎月決まった日に、返済表に記載された金額を返済するよう記載されています。
そして、全額を返済するまでの期限を35年間とか25年間というように、長期分割で返済をすると約束したわけですが、返済を怠ると、35年間とか25年間で返済していいですよとしていたものが、『期限の利益を失う』ことによって、一括ですぐ返済して下さい。となってしまいます。
では、一度でも返済が遅れるとすぐに『期限の利益を失う』のかということですが、そんなに厳しいことはありません。何かの事情で自動引落ができなかったとか、遅れてしまいそうだとか、とにかく返済に関して何かあればすぐに銀行へ連絡することが大切です。
返済が遅れることになった原因を見直してみる
返済ができなかった原因が例えば「勘違いをしていて残高が足りなかった」というような、本当は支払いできたのにミステークで出来なかったといった場合は、それほど問題ないと思いますが
- 給料が遅配や減額になった
- 失業して収入が無くなった
- 病気になって長期休職している
などが原因で返済が難しくなった場合には、銀行とも相談をして今後のことを考えなくてはいけないと思います。
今後の見通しがない状態で、銀行から催促の電話などがあると、出来ない約束をしてしまうこともあります。そうなると、銀行との信頼関係が無くなり、相談にも乗ってくれなくなります。
今後の返済が無理だと判断した場合の対処方法
住宅ローンの返済が今後は難しくなりそうだという状況になった場合、方法は二つあります。
- 銀行と交渉をしてリスケジューリングしてもらう
- 自宅を売却してローンを完済する
リスケジュールするなら出来るだけ早めにしたほうがよいのですが、リスケジュールとは返済額を減らすとか、しばらくの間元金の返済をしないで金利の支払いだけするとか、返済方法を負担の少ない方法に変えてもらうことです。
銀行との信頼関係があることが前提でできることですので、数ヶ月間の延滞があるといった場合には交渉すら出来ませんので、延滞がおこる前に相談に行かないと難しくなります。
銀行が返済条件の変更に応じてくれない場合または、自宅を売却した方がよいと判断した場合には、自宅を売却してローンを完済することを検討します。
売却する場合にはまずいくらぐらいで売れそうかを知る必要があります。
不動産査定と言いますが、正式に査定をどこかの不動産会社に頼まなくても、現在ではインターネットでいくらでも不動産情報は入手できます。
近隣の似たような物件がどのくらいの金額で売りに出ているかは、ある程度分かると思います。
ただ、インターネットに出ている金額で売れるわけではありません。実際には表示されている金額の10%~20%ぐらいで売却されることが多くなっています。
だいたいの売れそうな金額が分かったところで、住宅ローンの返済表をご覧になって下さい。
毎月の返済額は元金と金利に分かれています。そして、現在の年月のところの元金残高をみて下さい。
そこに書かれている金額が、現在のローン残高です。
売れそうな金額 > 現在のローン残高
売れそうな金額が「現在のローン残高」よりも十分に高ければ問題ないですが、あまり差がないとか、ローン残高の方が高い場合には、通常の売却ではローンの完済ができませんので、売却はできません。
そんな場合に行うのが任意売却です。